日々の運動で痛みの予防や再発防止を!
鍼灸院や整骨院で身体の痛みを取り除いてもらったが、しばらくするとまた痛みが出てくる。施術直後はすっきりした気がしたのに、帰宅する頃には施術前と同じ状態に・・・
このような経験をされたことがある人は少なく無いのではないでしょうか。
その痛みは筋力低下から起こる普段の動作・姿勢の乱れに原因があるかもしれません。
しかし、毎日の簡単な運動で、施術の効果を高めるだけでなく痛みの出にくい丈夫な身体を作る事ができます。
今回は姿勢を保持する筋肉を効果的に鍛える運動の方法を紹介していきます。
目次
姿勢を保持している筋肉とは?
人間の体には、ただ立っている・ただ座っているときにも常に活動している筋肉があり、それを抗重力筋といいます。
抗重力筋は身体の前側と後ろ側に付着し、互いに収縮し合ってバランスを保ち、重力に反した姿勢を保持するために働いています。
日常生活の中でしてしまいがちな猫背や片足に体重を乗せて立つなどの『悪い姿勢』が長時間続くと、抗重力筋の前後・左右のバランスが崩れ、痛みが起こりやすい状態になってしまいます。
でも『良い姿勢』は長く続けられない・・・
だからこそ、毎日の習慣として抗重力筋に刺激を与えて衰えないようにしなければならないのです。
体幹部の抗重力筋
体幹部では腹筋・背筋どちらも抗重力筋に分類されます。
長時間座っていると自然と猫背になってしまいませんか?
猫背の姿勢とは、背骨の弯曲(わんきょく)を利用して骨性支持で姿勢を保っている状態で、筋肉をあまり使わないので、一時的に楽な姿勢となります。
ですが、猫背になると背中の筋肉は背骨を支点にして常にストレッチされている状態になり、血行不良や筋疲労などにより背中の痛みが出現しやすくなります。
それだけではありません。
首が前に出てしまうので首を支える筋肉は疲労しやすくなり、首肩こりを引き起こします。
また、立っている状態では骨盤が後ろに倒れてお尻の筋肉が上手く使えなくなり、腰痛や足の筋肉の弱りにつながります。
安定した動作はしっかりした体幹によって行われています。
この記事を読みながら、1度スッと背筋を伸ばしてみましょう。
足の抗重力筋
『立つ』という動作の時、足の筋肉の多くが抗重力筋として作用しています。
ここでは、バランスを保つために特に重要な、お尻の筋肉と足首をまたぐ筋肉について説明していきます。
お尻の筋肉である中殿筋と大殿筋は、立っているときの上半身の左右・前後のバランスを保持しています。
この2つの筋肉の低下は、歩くときのふらつきや腰が伸びにくくなり姿勢不良につながります。
次に、足首をまたぐ筋肉の説明です。
足の主要な関節には股・膝・足首の3つがあります。
その中でも最も細かく様々な方向に動いてバランスを調節しているのが足首をまたぐ筋肉です。
前脛骨筋・後脛骨筋・下腿三頭筋などがあります。
足首の機能が低下すると、バランス能力や歩行能力の低下につながります。
車や電車など、移動するのに足を使わなくてよい便利な時代ではありますが、時にはたとえ10分程度でも近所をウォーキングするのも良いですね。
毎日できる!抗重力筋を刺激する運動
加齢と共に身体を動かす機会も筋力も減少していきます。
1日何もしないでいて低下していく筋肉は全体の8%とも言われています。
筋力低下に伴い、身体に痛みが出現することもあります。
機能を維持するため・痛みが出にくい身体を作るため、簡単な運動を今日からでも実践していきましょう。
尺取虫運動
この運動は、足の指で地面をしっかり掴んで指先の筋肉や虫様筋という筋肉を刺激します。
虫様筋とは、手足の甲の骨の間をつないでいる筋肉です。
私たちが普段、整骨院で行っているスパイラルテーピング療法の考え方の中に、手足の虫様筋の弱りは手足全体の筋肉の弱りにつながる、というものがあります。
虫様筋への刺激だけでも身体の動きが改善される方が多くいらっしゃいます。
運動方法はとてもシンプルで、写真のようにギュッと地面を掴み、その力のみで前進していきます。
ギュッと地面を掴む動作を10回繰り返してみましょう!
立って行うのが理想ですが、難しい方は座っておこなって下さい。
そもそも指が動かない、という方はつま先立ちなどの指の体操からスタートしましょう。
壁スクワット
スクワットは筋トレのビッグ3の1つでもあり、それだけに様々なフォームや注意点があります。
今回紹介するのは、壁にもたれて行う簡単なものですので、フォームが崩れにくく、負荷の調節もしやすいかと思います。
写真のように壁に頭と背中をぴったりつけ、足は壁から少し離します。
頭と背中を壁につけたまま、膝をゆっくり曲げて上体を落とします。
つま先が向いている方向に膝を曲げていくようにしましょう。
10回×3セット おこなってみましょう!
足の様々な筋肉を同時に刺激・強化できます。
肩を後ろに大きく動かして背中の筋肉を刺激する
この運動もスパイラルテーピング療法に則って行う運動です。
身体には関節を曲げる筋肉と伸ばす筋肉がありますが、それぞれ別々に運動することで正しい運動効果が得られます。
今回は猫背改善のため、関節を伸ばす筋肉を刺激する運動だけをピックアップしています。
指先をピンと伸ばし、肘は90度に曲げ、腕を脇腹にピタッとつけた状態がスタート姿勢です(写真左側)。
ここより腕が前に出てしまうと曲げる筋肉まで刺激してしまい運動効果を得られませんので注意して下さい。
スタート姿勢から写真のように腕を大きく後ろに引きます。
最大まで腕を引いた後は、ゆっくりスタート位置まで腕を戻します。
これを10回×3セット繰り返してみましょう!
正しく行えれば、背筋がドンドン伸びていきますよ!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、特に姿勢保持に重要な筋肉を効果的に刺激できる運動を紹介しましたが、以前腰痛のブログでも紹介した立ち方・座り方などでも体への負担の少ない運動として代用できます。
なかなか身体の痛みが取れずにお悩みの方がいらっしゃいましたら、できれば毎日、2日に1回でも構いませんので、1ヶ月間実践してみてください。
痛みの程度が変わってくることを実感できると思います。
また、今回紹介した運動そのもので痛みが起こる場合は、無理に動かさず、当院へご相談ください。
1日5分の習慣を身につけ、丈夫な身体を手に入れましょう!